フラックスを、一歩ずつ足す — フラックス step ラボ
Step 1境界を小さく切る閉じた曲線を N 個の小区間 Δl に分ける。
Step 2外へ出る成分を見る各点で場 E を外向き法線 n に射影 = E·n。
Step 3全部足す(E·n)Δl を一周ぶん足すと Φ。Φ/2π が、中にある源の量に近づく。
Φ = ∮ E·n dl3次元では面積要素 dA を使うが、このラボは2次元なので、境界に沿った小さな長さ dl を足していく。
(図の源 + はドラッグでも動かせる)
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収束:点数 N を増やすと Φ/2π → 囲んだ源(点線)。∮ は「細かい足し算の極限」。
E·n の符号 = 寄与の向き
E·n > 0:外へ出ていく flux(足す)
E·n < 0:中へ入ってくる flux(引く)
0E·n ≈ 0:接線方向、寄与なし
理論 — 何を Σ していくのか

Φ(フラックス)は、境界から場がどれだけ「外へ出ているか」の合計だ。連続な式では、閉じた曲線 $C$ に沿ってぐるりと一周ぶん積分する:

$$\Phi=\oint_C \mathbf{E}\cdot\mathbf{n}\,dl$$

でも一周を一気に積分するのは難しい。そこで 境界を $N$ 個の小区間に刻んで、一つずつ足す。区切り $i$ では、つぎの4つが手に入る:

この区切りから外へ出ていく量は、場の外向き成分 × 長さ

$$\Delta\Phi_i=(\mathbf{E}_i\cdot\mathbf{n}_i)\,\Delta l_i$$

内積 $\mathbf{E}_i\cdot\mathbf{n}_i$ は、場 $\mathbf{E}_i$ のうち「法線方向=まっすぐ外へ向かう成分」だけを取り出す。横にかすめる接線方向のぶんは境界を通り抜けないから、寄与は $0$ になる。

そして、これを $N$ 個ぜんぶ足したものが $\Phi$。これが、君がボタンで一歩ずつやっている Σ だ:

$$\Phi=\sum_{i=1}^{N}\Delta\Phi_i=\sum_{i=1}^{N}(\mathbf{E}_i\cdot\mathbf{n}_i)\,\Delta l_i\;\xrightarrow[\;N\to\infty\;]{}\;\oint_C \mathbf{E}\cdot\mathbf{n}\,dl$$

$N$ を増やすほど、この足し算は本物の積分 $\oint$ に近づく(下の収束グラフがそれ)。── そして大事なこと:計算パネルに並んでいる xᵢ, Eᵢ, nᵢ, Eᵢ·nᵢ, ΔΦᵢ は、まさに この Σ の“中身の一項” なんだ。一歩進めるたびに、和に $\Delta\Phi_i$ が一つ足されていく。

場はどこから来る? — 点源の場

源 $\mathbf{s}$ にある点源が作る場は、源から境界点へ向かうベクトル $\boldsymbol{\rho}_i=\mathbf{x}_i-\mathbf{s}$ を使って、

$$\mathbf{E}_i=q\,\frac{\boldsymbol{\rho}_i}{|\boldsymbol{\rho}_i|^{2}}\qquad\left(\text{大きさ }\frac{q}{|\boldsymbol{\rho}_i|},\ \ \text{向きは源から外向き}\right)$$

これは 2次元の $1/r$ 場 ── 3次元の点電荷なら $1/r^2$ だけど、2次元(=無限に長い線源を真横から見た図)では $1/r$ になる。$\boldsymbol{\rho}_i$ がパネルの 相対 ρᵢ=xᵢ−s、$\mathbf{E}_i$ が 場 Eᵢ だよ。

なぜ Φ/2π が「中の源の数」になるのか — ガウスの法則を導く

① まず、源を輪の真ん中に置いてみる(いちばん簡単な場合)。 半径 $R$ の円の上では、源からの距離はどこも $|\boldsymbol{\rho}|=R$ で一定。場は外向き($\mathbf{n}$ と同じ向き)だから、内積は一定値になる:

$$\mathbf{E}\cdot\mathbf{n}=\frac{q}{R}\quad(\text{円上のどこでも同じ})$$

あとは一周ぶん足す=円周 $2\pi R$ を掛けるだけ:

$$\oint \mathbf{E}\cdot\mathbf{n}\,dl=\frac{q}{R}\times\underbrace{2\pi R}_{\text{円周}}=2\pi q$$

ここで $R$ がきれいに消えるのが気持ちいい。場は $1/R$ で弱くなるのに、足す境界(円周)は $R$ で長くなる ── ちょうど打ち消し合う。だから半径によらず答えは $2\pi q$。これが $1/r$ 場の“仕掛け”だよ。

② 形が変わっても、源が中にある限り同じ。 ここが効くところ。一区切りの寄与は、じつは その区切りを源の位置から見込む角度 $d\varphi$ だけで書ける:

$$\mathbf{E}\cdot\mathbf{n}\,dl=\frac{q}{|\boldsymbol{\rho}|}\,(\hat{\boldsymbol{\rho}}\cdot\mathbf{n})\,dl=q\,d\varphi$$

($(\hat{\boldsymbol{\rho}}\cdot\mathbf{n})\,dl/|\boldsymbol{\rho}|$ が、その小区間を源から見込む角度 $d\varphi$。同じ長さでも、遠いほど小さい角度に見える、というだけのこと。)だから一周の合計は、角度を一周ぶん集めたものになる:

$$\oint \mathbf{E}\cdot\mathbf{n}\,dl=q\oint d\varphi=q\times(\text{源から見て、輪を一周する間に回った角度})$$

源が 内側なら、輪を一周する間に源のまわりをちょうど一回り= $\oint d\varphi=2\pi$ → 答えは $2\pi q$。源が 外側なら、行きで増えた角度が帰りで戻って $\oint d\varphi=0$ → 答えは $0$。境界の形にはいっさいよらず、源が中か外かだけで決まる ── これが、君が源を内・外に動かして見ている「囲めば 1、囲まなければ 0」の正体だ。外の源で $\mathbf{E}\!\cdot\!\mathbf{n}$ の符号が行き帰りで反転して打ち消すのも、この $d\varphi$ の符号が反転してるんだよ。

源が複数あっても、場は重ね合わせなので、それぞれの寄与を足すだけ。だから一般に:

$$\frac{\Phi}{2\pi}=q_{\text{enc}}=(\text{内側にある源の合計})$$

離散の足し算は、なぜ ∮ に近づくのか

このラボの $\displaystyle\sum_{i=1}^{N}(\mathbf{E}_i\cdot\mathbf{n}_i)\,\Delta l_i$ は、なめらかな関数を $N$ 本の短冊で近似する リーマン和だ。$N$ を増やすと短冊が細くなって、和は積分 $\oint$ に近づく(その様子が下の収束グラフ)。源が境界から遠いと被積分関数はなだらかで、少ない $N$ でもすぐ合う。逆に 源を境界ギリギリまで寄せると、その近くで $\mathbf{E}$ が鋭く尖るから、合わせるのに $N$ がたくさん要る ── 収束の速さが目に見えて変わるはず。源をドラッグして、輪のすぐそばまで近づけて試してみて。